航空業界は数ある職種のなかでも華やかなイメージが根強く毎年人気の就職先となります。なかでもキャビンアテンダントやパイロットは男女問わず一度は憧れを持つ職業と言えるでしょう。しかし、華やかなイメージとは裏腹に選考過程や就職後の実務はハードなものも多く、ギャップに苦しむ人も少なくはありません。そこで、本記事では航空業界の業務内容の実際や基礎知識、業界の動向について紹介します。実際の航空業界の実務や動向を知ることで、業界に就職したさいのギャップを軽減することができます。自身の適正や業界研究の参考としても活用できますので、ぜひ、最後まで一読してみてください。
航空業界ってどんな業界?
航空業界と聞いて思い浮かべる業界イメージはどのようなものでしょうか。航空業界とは航空業務を中心としており、人や物を目的地まで安全に運ぶために欠かせない業界です。航空を利用することによって人や物を早く運ぶことができる上、長距離運送を可能とします。私たちの旅行や仕事としての活用はもちろん、精密機器や生鮮食品などを運送するためにも必要不可欠な業界といえるでしょう。
航空業界の職種と業務内容
航空業界は主に、「客室乗務員」「グランドスタッフ」「パイロット」「総合職」「航空整備士」という5つの職種に分類することができます。いずれも重要な業務を担っていますので、職種内容を理解し業界研究を追行していくようにしましょう。
はじめに、客室乗務員について紹介します。客室乗務員はキャビンアテンダントやCAなどと呼ばれ、航空業界のなかでも最も人気の高い職種となります。中心業務としては、乗客とともにフライト時間を過ごし、お客様が心地よく過ごせるようさまざまなサービスを行います。サービスのなかには「飲食の提供」や「機内販売」、「ドアの開閉作業」や「離着陸前の安全確認」などがあります。コミュニケーションスキルだけでなく、機内の安全や体調不良に陥るお客様の介護などといった体力仕事も多くハードワークが要求されます。また、時差や空の上での体調管理など自身の健康を維持する能力も必要です。客室乗務員になるためには、「TOEIC600点以上」「身長160cm以上(外資系に限る)」「コンタクトレンズを含めた矯正視力が 1.0以上」などの条件が設けられ、毎年採用倍率は20倍以上となります。しかし、一般的には条件をクリアしていれば採用される場合が多く、外見や身長などで採用の可否が左右されることはありません。採用されれば、国内外のさまざまな場所へ行くことができる他、人種を問わず多くのお客様とのコミュニケーションを楽しむことができます。決して華やかな業務ばかりではありませんが、各地を訪れたい人や外国が好きな人にとっては理想的な職種といえるでしょう。
次に、空港内で業務を行うグランドスタッフです。グランドスタッフの具体的な業務内容としては、お客様の搭乗手続きやチェックイン業務、飛行機が空港に到着してからの荷物の引き渡し業務やオフィス業務などが挙げられます。グランドスタッフはフライト時間に合わせて、早朝から深夜までのシフト制の勤務体系となります。勤務は4日勤務2日休みの体制を採用している企業が多く、出勤するさいも早朝から勤務を開始する「早番」と午後から勤務を開始する「遅番」に分かれているケースがあります。
次に、パイロットです。パイロットの業務内容は飛行機に旅客や貨物を乗せて運送することが中心となりますが、操縦だけを行なっていればいいというわけではありません。搭乗前の気象データのチェックやミーティング、乗務員の指揮監督など多岐に渡ります。また、機長と副機長によって必要な資格や業務内容も異なります。機長になるためには「定期運送用操縦士」という資格が必要です。副機長には「事業用操縦士」という資格が必要となります。基本的には、副機長として10年以上勤務したのちに、定期運送用操縦士の資格を取得し機長になるというキャリアステップが一般的です。パイロットの業務は何百人もの乗客の命を預かる責任重大な仕事です。試験に合格するためにはさまざまな訓練や知識を必要とします。パイロットを目指す人は強い覚悟を持って挑む必要があるでしょう。
次に、総合職の業務内容です。総合職は、空港や旅客サービスに関わる企画運営業務やさまざまなデータの入力作業、事務作業などいくつもの仕事内容に分かれます。入社後は、空港や営業所などで経験を積みながら、各部門を周り航空会社全般の業務を行えるようキャリアアップを目指します。
最後に、航空整備士です。航空整備士は国家資格を必要とするプロフェッショナルな職種となります。飛行機の点検業務やメンテナンスにあたるため、安全な飛行のためには欠かせません。入社後は、航空現場で実務経験を積みながら経験と知識を高めることが求められます。数年の実務経験を経た後は、運行整備や機体整備計画、エンジンメーカーとの交渉など、専門性を持って整備部門の管理者としてキャリアステージを上げていくようになります。
その他、大手航空会社では新しい職種が生まれています。近年、発達の著しい情報通信技術や統計学をもとにビックデータの分析を行う「業務企画職」という職種です。分析を活かし航路計画や販売戦略、IT戦略などの企画を打ち出していくことが期待されます。航空業界と一口にいっても、さまざまな働き方があります。職種に特化したスペシャリストとしてキャリアアップできるよう自身の適正を見極めて就職活動を行うことが必要です。
航空業界の動向
現在まで日本航空はさまざまな変遷を経てきました。2010年、日本航空は2008年のリーマンショックを引き金に経営破綻を経験しています。長年、日本では過剰な旅客席数を確保するため大型航空機を保有しなければならない状況が続いていました。羽田航空だけでは、乗客や運送物をカバーすることができず、地方空港などの建設も進みましたが、需要の変化も早く必ずしも大型航空機が必要な状況ではなくなりました。大型航空機は燃料費や維持費がかかるため、保有することに注視した経営方針に頼りすぎてしまったことが破綻の原因となったといわれています。近年では、LCC(Low-Cost Carrier)と呼ばれる格安航空会社の参入によって大手航空会社がカバーできない定価格帯の旅客機や採用形態を作り出しています。航空業界は今後も大手航空会社とLCCというライバル関係のなかで発展していくため、業界に就職することを考えている場合には両者の関係性などを研究することも大切となります。
まとめ
航空業界の業務内容と動向について紹介してきました。多くの人の憧れとなる航空業界ですが、業務内容は華やかな場面だけでなくハードな側面も多い職種です。志望するさいには、業界研究や職種研究を進め自身に適した業務内容であるのかを意極めながら対策を練る必要があります。なかでもパイロットは必要となる資格の難易度が高く相応の学歴や知識習得の期間を必要とします。資格習得のための手順や条件を確認しながらスムーズにキャリア形成を行えるように事前にしっかりと調べるようにしましょう。近年、業界ではLCCの参入や旅客需要の変化に伴いさまざまな変革が起こっています。最新の動向に注意しながら希望する職種を目指すとよいでしょう。