航空機を操縦し、世界各地を巡ることのできるパイロット。数ある交通網のなかでも移動時間や距離は長くプロフェッショナルな職種です。操縦するためには、自家用操縦士や定期運送用操縦士の資格が必要となります。本記事では、ライセンスを取得した人がどのような業務を行うことができるのかについて具体的に紹介していきます。
パイロットになるまでに必要な資格
パイロットは航空機を操縦するための技能や知識を併せ持ったプロフェッショナルな人材です。数多くの乗客を乗せて、離陸から着陸まで安全な操縦を行うためには専門知識と技術を持つ必要があります。パイロットになるためには、「事業用操縦士」「定期運送用操縦士」というライセンスの取得が義務付けられています。毎年ライセンスを希望する人は多く、取得を目指せる航空大学や専門コースのある大学の入学倍率は非常に高くなります。
パイロットの業務内容
パイロットの仕事といえばフライトのイメージが強くありますが、実際に航空会社で働くエアラインパイロットは旅客機を操縦して人や貨物を目的地まで運ぶ役割を担っています。飛行中にミスを犯さないためにも、パイロットは操縦だけでなく関連するさまざまな業務を行います。ここでは、パイロットの業務内容について紹介していきます。
パイロットの仕事はフライト前から始まります。安全にフライトを行うために、その日の天候や空港の状況などを客室乗務員や運航管理者とともに確認します。空の状況によってはフライトができない場合や操縦に影響を与える場合がありますので、しっかりとミーティングを行う必要があります。その後、航空機の整備状況や飛行高度、燃料等の確認を行うことも重要な作業です。コックピットに入室してから再度、燃料の確認、飛行データの入力、計器類の点検を行いようやくパイロットの飛行の準備が終わります。離陸などの合図を出す航空管制官と客室乗務員の準備が整い次第フライトを開始します。
大型の旅客機の場合は機長と副操縦士の２人体制でコックピットに入ります。基本的には機長が操縦を行い、副操縦士は管制官との通信やりとりや機長の補佐にまわります。航空内では自由に飛べるわけではありません。他の機体との接触などによる事故を防ぐために綿密な計画の元に走行しています。自動操縦を行うことも可能ですが、航空内では常に何が起こるのかわからない状態ですのでパイロットの目視が欠かせません。特に、大きな気流の乱れや落雷など事前に予測できない気象状況が発生する場合があるため管制官とのやりとりが必要です。また、副操縦士はフライト中に燃料や機器のトラブルが起きないよう常に計測器やレーダーをチェックしなければなりません。乗客を安全に目的地へと運ぶために操縦室では、パイロットの技術や知識が必要となります。
パイロットの役割とは
パイロットの業務内容は多岐に渡りますが、全ての業務が「安全で快適な飛行」につながっています。離陸前にはその日の気象データの確認にはじまり、機体の整備チェック燃料確認を重ねます。フライト中も自動操縦になっても常に目視にて空の状況を確認し何かが起こる前に的確な判断をできるよう細心の注意を払います。着陸後は、その日のうちに飛行日誌にフライトの振り返りを記録し、整備担当者に機体の状態を伝えます。パイロットの日々の業務によって私たちの安全が守られているといえるでしょう。
パイロットの活躍の場
パイロットとしての勤務先としては、航空会社、官公庁、使用事業会社の３つが挙げられます。航空会社は大手だけでなく、LCCと呼ばれる格安航空会社など国内問わずさまざまな企業があります。航空会社で活躍するパイロットは「エアラインパイロット」と呼ばれ、毎年人気の就職先となります。官公庁では、警察や消防、海上保安庁、自衛隊などの航空要因として活躍するようになります。日常生活のなかではなかなか目にすることがありませんが、災害や事故が起き陸路では困難な状況が生じた場合には大きな強みとなります。パイロットになるためには、身長や視力などの条件が細かく定められていますので採用を目指す方は当てはまるかどうかを確認するようにしましょう。使用事業会社とは、少人数の遊覧飛行やチャーター飛行、農薬散布など飛行機やヘリコプターを使用したさまざまな民間企業を指しています。主に小型機を扱う使用事業会社は「ジェネラル・アビエーション」とも呼ばれます。航空会社や官公庁とは異なり、利用目的は多岐に渡るため、パイロットにも多様な能力が求められます。また、パイロットに関連した職業として、緊急を要する病人や怪我人を空路で運ぶ「ドクターヘリ」の操縦を行う「ヘリコプターパイロット」があります。医療機関に所属しながら一刻を争う患者を病院まで運ぶ仕事です。いずれもライセンスを取得することで活躍できる場になります。
パイロットに欠かせない体調管理
フライトにあたっている時には一瞬のミスが大きな事故につながります。パイロットが操縦中に体調不良を起こすことで多くの命を巻き添いにする可能性があるため、体調管理は業務の一つと考えても良いほど大切なことです。万が一に備えて２人体制をとり、食事も別のものをとってはいますが日頃から業務を意識した健康づくりが求められます。では、パイロットはどのような健康づくりを行なっているのでしょうか？基本的には栄養管理と規則正しい生活リズムを取ることです。暴飲暴食をしないこと、栄養価の高い野菜を摂取すること、アルコールを摂取しない人や禁煙を控えている人もいます。また、生活リズムを整えることは良質な睡眠へとつながります。職業上、満足に眠れない時も多いため寝不足にならないよう意識して生活リズムを作ることが大切です。
心身の健康を維持するためにも、パイロットには一般的な会社員よりも多く休日が用意されています。休日の過ごし方としては、音楽や映画鑑賞などの趣味に時間を割いたり、家族や恋人と過ごしたりとさまざまです。仕事に支障をきたさない程度にリフレッシュする時間を過ごす人が多いでしょう。国内の航空会社ではフライト12時間前を過ぎたら飲酒が禁止されていますが、万が一を備えて丸一日禁酒する人もいます。また、勤務日だからといって必ずフライトが入るわけではありません。欠員が出た場合のスタンバイ要因としての出勤日も用意されていますので、十分な休息が取れるようスケジュールが組まれています。パイロットとして節度ある行動をとりながら、上手に休暇を過ごせると良いですね。
まとめ
本記事では、ライセンスを取得した人がどのような業務を行うことができるのかについて具体的に紹介してきました。パイロットの業務内容は操縦にとどまらず、操縦前の気象データの点検や機体点検、離陸後の振り返りに至る全てにおいて安全と快適な走行のために欠かせない業務となります。活躍の場は大手航空会社から官公庁、民間企業とさまざまな場面で用意されています。近年は団魂世代が退職しており、採用情報も毎年掲載されています。採用試験の倍率は高く相応の準備が必要となりますが、パイロットとして活躍するためには声なければならない壁となります。パイロットになった際には、自分の命だけでなく乗客の命を守るためにも健康管理に気をつけ適度な休息をとりながら、万全な体制で操縦にあたるようにしましょう。